色素性母斑

色素性母斑

色素性母斑とは?

色素性母斑とは?

色素性母斑は、いわゆる「大きなほくろ」のことで、母斑細胞という色素を作る細胞が増殖してできる褐色から黒色のあざです。医学的には母斑細胞母斑とも呼ばれ、小さなほくろと本質的には同じものですが、直径が1.5cm以上のものを指すことが多いです。

多くは生まれつき存在する先天性のもので、大きさは数センチのものから体の広範囲に及ぶ巨大なものまで様々です。表面が平らなものから盛り上がったもの、剛毛のような太い毛が生えている獣毛性母斑まで、形態も多様です。

皮膚の浅い部分から深い部分まで母斑細胞が存在することが多く、色の濃さや深さによって治療方法が異なります。良性のあざですが、大きさや部位によっては将来的に注意が必要な場合もあるため、専門医による診断が大切です。

こんな症状があればご相談ください

以下のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 生まれつきある大きな黒いあざ
  • 直径6cm以上の黒あざ(乳幼児の体幹部)
  • 直径9cm以上の黒あざ(頭部)
  • 太い毛が生えている黒あざ(獣毛性母斑)
  • 手のひら、足の裏、爪の下にある黒あざ
  • 急に大きくなってきた黒いほくろ
  • 形が不規則で、色にむらがあるほくろ
  • かゆみや痛みを伴う黒あざ
  • など

 
特に大きなものや、毛が密生しているものは、専門的な診断と経過観察が必要です。

色素性母斑の特徴と注意点

色素性母斑は、母斑細胞が存在する深さによって「境界型」「真皮内型」「複合型」に分類されます。表面は平らなものから、でこぼこして盛り上がったものまで様々で、成長とともに大きくなることもあります。

巨大色素性母斑(成人で直径20cm以上)では、約3~10%の確率で悪性黒色腫という皮膚がんになる可能性があると報告されています。特に獣毛性母斑は注意が必要です。また、手足の末端、特に手のひらや足の裏、爪の下にあるものも、まれに悪性化することがあります。

ただし、ほとんどの色素性母斑は良性のまま経過します。過度に心配する必要はありませんが、定期的な観察と、変化があった場合の早めの受診が大切です。

当クリニックでの治療方法

色素性母斑の治療は、基本的に手術による切除が第一選択となります。これはレーザー治療では母斑細胞を完全に除去することが難しく、再発の可能性が高いためです。切除により母斑細胞を根本から取り除くことで、確実な治療効果が得られ、再発の心配もほとんどありません。

形成外科的な縫合技術

手術では、形成外科専門医として培った技術により、極力目立たない瘢痕になるよう配慮します。髪の毛より細い糸を使用し、真皮縫合と皮膚縫合の2層で丁寧に縫合することで、傷跡を最小限に抑えます。縫合線は皮膚のしわに沿わせたり、ジグザグ縫合を用いたりすることで、直線的な傷跡を避け、将来的に目立ちにくくなるよう工夫します。

手術時期と麻酔方法

小さな色素性母斑は局所麻酔下で外来手術が可能です。当クリニックの手術室で、30分程度で切除できます。大きなものや部位によっては、連携先の甲南医療センターで全身麻酔下に院長が執刀します。手術時期は、母斑の大きさや部位により異なりますが、顔面など露出部では早期の切除により、傷跡が成長とともに目立たなくなる利点があります。

病理検査による確定診断

切除した組織は病理検査に提出し、良性・悪性の確認を行います。色素性母斑のほとんどは良性ですが、まれに悪性の可能性もあるため、病理診断により確実な診断が得られます。検査結果は約2週間後に判明し、詳しくご説明いたします。

レーザー治療という選択肢

小さなものに対しては、アキュパルス(CO2レーザー)による治療も選択肢となりますが、この場合は自費診療となります。レーザー治療は傷跡が残りにくい利点がありますが、深部の母斑細胞が残存し、再発する可能性があることをご理解いただく必要があります。特に顔面の小さな母斑では、美容的観点からレーザーを選択される方もいらっしゃいます。

術後の経過と結果

手術後は1週間程度で抜糸を行い、その後は傷跡が成熟するまで3~6ヶ月間、テープ固定や軟膏塗布を継続します。最初は赤みのある線状の傷ですが、時間とともに白く細い線になり、最終的にはほとんど分からない程度まで改善します。お子さんの皮膚は再生力が高く、大人より傷跡がきれいに治る傾向があります。定期的に経過を診察し、必要に応じて傷跡修正の治療も行えます。

手術による治療の重要性

手術治療の最大の利点は、切除した組織を病理検査できることです。これにより、良性か悪性かを確実に診断でき、今後の治療方針を適切に決定できます。レーザー治療では組織が蒸散してしまうため、このような検査はできません。

手術は保険診療の対象となり、通常1回の治療で完全に除去できます。大きなものでは分割切除術という方法で、複数回に分けて切除することもあります。手術時間は5~20分程度で、局所麻酔下で行います。

形成外科的な手技により、皮膚の緊張を考慮した切開線の設定、Z形成術などの特殊な技術を用いることで、機能的にも美容的にも満足いただける結果を目指します。大きなあざで全身麻酔が必要な場合は、連携病院と協力して安全に治療を行います。

早期診断の大切さ

色素性母斑で最も重要なのは、正確な診断です。当クリニックでは、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を使用して、あざの性質を詳しく観察します。悪性の可能性がないか慎重に判断し、適切な治療方針を決定します。

お子さんの場合は、成長を考慮した治療計画が必要です。例えば、顔にある色素性母斑では、就学前に治療を完了できるよう計画を立てます。将来の傷跡を最小限にするため、手術時期、方法、回数など、お子さん一人ひとりに合わせた最適なプランをご提案します。

早期に専門医の診断を受けることで、経過観察で良いものと、積極的な治療が必要なものを適切に判断できます。色素性母斑について少しでも気になることがあれば、神戸市・東灘区・御影駅にある御影こども形成外科へお気軽にご相談ください。