太田母斑・遅発性太田母斑とは?

太田母斑は、1939年に日本人医師の太田正雄先生が世界で初めて報告した青あざです。顔の片側、特に目の周りから頬にかけて現れる青紫色から灰青色の色素斑で、日本人の約1000人に1~2人の割合で見られます。
生後まもなく現れる「早発型」と、思春期以降に現れる「遅発型(ADM:後天性真皮メラノサイトーシス)」があり、どちらも女性に多い傾向があります。メラニン色素が皮膚の深い部分に存在するため青く見え、自然に消えることはありません。
白目の部分に青みが現れることもあり、これも太田母斑の特徴の一つです。健康に害を及ぼすことはありませんが、顔という目立つ部位にできるため、適切な治療により改善を図ることが可能です。
こんな症状があればご相談ください
以下のような症状がある場合は、専門医による診察をおすすめします。
早発型の症状
- 生後まもなく顔の片側に青あざが現れた
- 目の周り、頬、額に青紫色の斑点がある
- 白目の部分に青みがある
- 成長とともに色が濃くなってきた
など
遅発型(ADM)の症状
- 思春期以降に顔に青みがかったシミが現れた
- 両頬の上部に灰色がかった斑点が増えてきた
- 目の下のクマが消えない
- 肝斑の治療をしても改善しない褐色斑がある
など
太田母斑の特徴と経過
太田母斑は三叉神経の支配領域に沿って発生し、額、まぶた、頬、こめかみ、鼻などに現れます。多くは片側性ですが、まれに両側に出現することもあります。
早発型は生後1年以内に発症することが多く、遅発型は20~40歳代で初めて気づくケースもあります。色調は青紫色が基本ですが、褐色が混在することもあり、濃淡には個人差があります。
一度できた太田母斑は自然消退することなく、むしろ思春期に色が濃くなったり範囲が拡大したりすることがあります。小児期に治療して改善しても、思春期に再発する可能性もあるため、継続的な経過観察が大切です。
他の青あざ・シミとの違い
太田母斑は他の色素性病変と間違われやすく、正確な診断が治療成功の鍵となります。
遅発型太田母斑(ADM)は両側性に現れることが多く、肝斑やそばかすと誤診されることがあります。肝斑として美白剤やレーザートーニングを受けても効果がない場合、ADMの可能性を考える必要があります。
目の下のクマと思われているものが実は太田母斑であることも少なくありません。睡眠や体調に関係なく一定の青みがある場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。形成外科専門医による診断で、適切な治療方法を選択できます。
当クリニックでの治療方法
神戸市・東灘区・御影駅にある御影こども形成外科では、ナノスターR(Qスイッチルビーレーザー)による治療を行っています。このレーザーは真皮深層のメラニン色素を選択的に破壊し、周囲の正常組織への影響を最小限に抑えます。ナノスターRは照射径が大きく、ムラなく均一な治療が可能で、連射機能により治療時間も短縮できます。
治療スケジュールと保険適用
太田母斑は保険診療の対象となり、お子さんの医療費助成制度も利用できます。治療は3ヶ月間隔で行い、通常3~5回程度で改善が期待できます。初診時にご希望があれば、その日のうちにレーザー照射を開始することも可能です。総合病院のように何度も通院する必要がなく、効率的に治療を進められます。
期待できる治療効果
太田母斑はレーザー治療への反応が非常に良好で、多くの場合できれいに消えることが期待できます。特に早期治療により、ほぼ完全に色素が消失する例も多く見られます。治療回数を重ねるごとに青みが薄くなり、最終的には周囲の正常な皮膚と見分けがつかない程度まで改善します。顔面の太田母斑は特に治療効果が高く、お子さんの将来の心理的負担を大幅に軽減できます。
年齢による治療効果の違い
3歳までの早期治療開始が理想的です。幼少期は皮膚が薄くレーザーが効果的に届くため、少ない回数で良好な結果が得られます。思春期以降に現れる遅発性太田母斑も同様に良好な治療効果が期待できますが、早めの治療により色素沈着などの副作用リスクを減らせます。
痛みへの配慮と親御さんの同伴
治療時の痛みには表面麻酔クリームを使用し、30分程度待つことで痛みを大幅に軽減できます。ナノスターRは冷却装置も強化されており、お子さんでも安心して受けられる体制を整えています。処置では親御さんも一緒に処置室に入っていただけます。お子さんを抱っこしたり、手を握って励ましていただいたりすることで、不安を和らげながら治療を進められます。
治療後の経過
照射後は一時的に患部が赤くなりますが、数日で落ち着きます。その後、徐々に青みが薄くなっていき、3ヶ月後の次回治療時には改善を実感していただけることが多いです。治療経過は写真で記録し、客観的に改善度を評価しながら、親御さんと一緒に治療計画を調整していきます。
治療効果と早期治療の重要性
太田母斑は、青あざの中でも特に治療効果が高く、適切な治療によりきれいに改善する可能性があります。保険診療で良好な結果が期待できる疾患です。
早期治療には多くの利点があります。皮膚が薄い幼少期はレーザーが深部まで届きやすく、少ない治療回数で効果が得られやすい傾向にあります。また、3歳までの治療開始により、お子さんの記憶に残りにくいというメリットもあります。
成人でも治療は可能ですが、皮膚が厚くなると治療回数が増える傾向があります。顔の青あざで気になる症状があれば、早めの受診をおすすめします。専門医による正確な診断と適切な治療により、多くの方が満足いただける結果を得ています。